#goshichigo ・2/17

春の猫いつになったら奮起する


下萌えのさざめきにいま目覚めなさい


穴開けてわたしみている障子かな


秘事も途端に昏し豚の鼻


芸術は下品とおもう花見酒


菜の花は苦くいまさら迎え酒


どうせなら知りたかったな春蜜柑


うららうらら名を呼ぶように風の吹く


戦術を燕に告げよいざさらば

#goshichigo ・2/16

エアコンに晒すふたつの亜熱帯


立春や追い湯してまた追い湯して


口移し教わるままに春と修羅


朝刊をねじ込んでいる手を愛し


春眠や好きなることの成れの果て 


呼ぶ声に蟻の門渡り封鎖する

情報(文芸系Webメディア「蓼食う本の虫」さん)

文芸系Webメディア「蓼食う本の虫」

蓼食う本の虫 (@tadeku_net) on Twitter

さんに寄稿させていただいています。

短歌に踏み込みたいかた、気になったかたははどうぞご覧くださいませ。

 

賛否両論の第一回記事はこちらから

tadeku.net

カーテンの汀

カーテンの汀

おお、羊飼いが吹く笛の音は遠くまで響いてやばいね、出川のようにやばいねやばいよ——そう彼は、やばいとしかいいようがないほど朗らかに笛を吹く、すると呼ばれたように冬の太陽が重たい雲間からしずかに顔を出す、それは誰が見ても北風のことなんか忘れ去ってしまった季節の眩しい眩しい太陽だった、(と今でこそ思えるのだが)

その逆光が、浅はかな交換条件として送り合ったテーブル上のカカオ豆の賄賂に降りそそぎ、木目の乱れた傷跡をうまくごまかしながら、徐々に影が、影がちらちらと伸びたり縮んだりして台の半分以上を占拠してしまうのを、粉薬の白さのようにうまく飲み込めずにいるまま、見つめていた

脈拍が

やけに

落ち着いている

今日みたいな日はレースのカーテンもきちんとあけて、すぐにでも夜の中に消えてしまいそうな寒々しい景色を目に焼き付けるのだが、なんというか、そうやって決意すればするほど、この視界は霞んでしまい、ああ、この目こそ揺らぎっぱなしの、生地の長いカーテンだった、と錯覚していた

 

余らせたカーテンの生地に汀めく窓からわずかな温度まぶしい