深夜のトランペッター

深夜のトランペッター

 

深夜の公園でトランペッターが発光している

枝葉がまさぐりあうように交差して

鬱蒼とした夜を形成する公園の角

 

下手くそなんだかどうなんだか

ファアともラアとも形容しがたい音のふくらみに

あるはずもないトランペッターの

感情の一端を見出そうと

月がまた少し沈んでいくのを見送った

 

犬の遠吠え

もう一つ

犬の遠吠え

 

あるはずもない感情

 

(ときおり聞こえる息継ぎの音)

 

あてどない濃度で更けゆく夜に

長らく

発光し続けていたトランペッターは

空のうすら明るさに

つい

最後の音を吹き始める

今日一番のロングトーン

 

(風、)

(風の中に薄れてゆく息継ぎ)

(風、)

 

このまま

体の光も小さくなって

この音が途切れたとき

トランペッターはひとり

明日へと続く生活へ帰ってゆくのだろう