鳴き去っていきます

鳴き去っていきます

 

こお、こお、と水鳥が鳴き去っていきます

うっすらとした赤さの夕方

前方不注意に漕いでいく自転車は

ざらしのせいで錆びついて、

重たいギアで踏み出すたびに

チェーンが息苦しく音を立てます

 

こお、こお、と水鳥が鳴き去っていきます

音としてのみ自覚する風

いつからか

イヤホンをつけることは禁じられ、

いや、そうでなくても、

歌いながら走るのには必要ありませんでしたが

 

こお、こお、と水鳥が鳴き去っていきます

ですが

去っていると思っていたのは

好きな言葉を入れてください]だけかもしれず

そのずるっこい孤独に、

次の交差点は

もう一度、赤になります。

 


こお、こお、と飛び去ってゆく水鳥を追えば信号機に点る赤 *1