一体の骨

一体の骨

 

骨盤の窪みに指をかけながら夏は暑くて少し痩せたな
 
院内の廊下進めば誰かしら見舞い客の顔つきをして
 
病状を言うときいつも「いつも噛む、大腿骨骨頭壊死って」
 
「恐竜がアボカド産んでも変やないやろ、どう見てもありえそうやろ」
 
折り曲げんでって言われたチケットはやっぱり左隅が剥げとった
 
遅れてきたバスに乗っとる人たちも例外なしにみんなして骨
 
現れて捲れるように消えていく緑の看板窓に映れば
 
ささくれをむしってやめる時すでに遅しといえば遅いかもしらんね
 
冷ややかに乾く窓際もたれては前髪の隙より田園を見る
 
水前寺公園駅に止まります  3歩進んで2歩下がります
 
削ったらまっすぐになる(のだという)足の左右に外反母趾あり
 
どこらへんやったと聞けばおーっきい横断歩道のふもと ってどこよ
 
自らを迷子と呼んでも恐れんよ商店街はまっすぐなだけ
 
入り口の巨大ポスター翼竜の翼部分はほぼ切り取られ
 
足跡の再現を見る(誰一人確かなものを見たことはない)
 
見れば見るほど骨やなあよく見ても恐竜というばかでかい骨
 
海に還ることのできたものだけが欠けたることもないまま化石
 
次々に停まっては発つどのバスもひかりを運ぶ 白いひかりを
 
もうバスが来てもいいころベンチから投げ出す脚に雨なまぬるい
 
定刻で乗り込む車内に人はなく眠りに落ちる一体の骨